天啓の器

2018/01/30

笠井潔、双葉社。もしくは「ザ・ヒヌマ・マーダー」 さてはて、メタミステリなのか、メタ小説なのか、それとも文壇小説なのか。そのどれとも判別のつきにくい、入り組んだ小説である。創作と言う行為の「中国製の木箱」の無限構造をテーマに、ミステリの形をとって作品・作家・読者論を語っていく。
否、この作品が既に一つの答えなのであり、答えを導くための媒介ではないのだろう。そのレベルまで達している筆の強さは、やはり凄い。ただ、僕が白けているのかどうだか知らないけれど、この本の中で論じられる作品・作家・読者論よりもはるかに、たとえば大槻ケンヂの
「誰も詩など聴いていないし パノラマ島に帰ろう帰ろう」
だとか、中島らものエッセイにたびたび登場する分裂症のミュージシャンカド君が浅田に言った
「悪いのは軍隊と病院だよ!」
という声のほうが、何故だかしっくり来るのだ。